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ブダペスト音楽生活

留学2年目

2018年8月22日

先日、渡辺絢星(ワタナベ・ケンセイ)の「留学を丸見せ!」と言うトークレクチャーに行ってまいりました。

・留学先での生活ってどんな感じ?

・留学って実際のところ何をするの?

・留学をどのようにしてできるの?

・留学までの道のり。。。

等を中心にするレクチャーでした。

 

渡辺さんを簡単に紹介したいと思います。彼は上野学園大学音楽学部演奏家コースを経て、現在はハンガリー国家奨学金生としてハンガリー国立リスト音楽院に在籍し、今年(2018年)留学の2年目を無事終えました。留学の2年目の伏見はどんな思いでしょうか。

レクチャーは東京の都内、こじんまりしたスタジオでピアノの音も入れ混ぜながら行われました。

渡辺さんは日本で大学2年生の頃、初めて外国にいる実感を訪れ先のドイツの街でしました。さらに、そこで素晴らしい経験が後々留学する決心の後押しにもなったそうです。初めての外国体験で最も印象深かったのは:

・ヘンデル(ドイツ人作曲家)の生まれ国境を自分の目で確かめ、街の教会の特別な雰囲気ゆえの冷やりとした空気や演奏の響きを自分の体で感じることができたこと

・ヨーロッパ人は、会ったことがない人に対しても家族のような温かい振る舞いをすること。

そして留学を決意するには、まず自分自身留学するという気持ちを固めることが大事だそうです。

渡辺さんが留学を決意したのは大学4年生の頃、これからの道を考える頃でした。そして留学へ向けて本格的な準備を始めていきました。

・現地に留学している先輩たちの話や指導をじっくり聞き、受ける。

・ハンガリー語を勉強し始める

渡辺さんはこの準備を進めるのにあたって、トキオハンガリークラスのハンガリー語講座と出会いました。そして1年半懸命に習い続け、語学力を高めていきました。

ハンガリーへ船渡る時に、ネイティブたちが操るライブの言葉にぶつかりました。しかし日本で身に着けたベースがあったからこそ異文化や言葉の壁を早く乗り越えられました。

 

(ここで、私からのちょっとしたコメント:全ては渡辺さんの努力や勇気の成果ですよ。道を切り開いたのはご自身です。私は、ハンガリー語の講師としてこの道をどのように歩けるかを指導した位です。:-))

渡辺さんは、現地で目を見張ったことが何度かあったそうです。それは szia (セィア)という会った時も分かれる時も使えるラフな挨拶、と sziasztok(セィアストク)と言う複数系の言い方があったことなどです。

現地でのエピソードとして、地下鉄の運転士さんは無意識に駅を通過してしまったとき一言「bocs=ごめんね」だけでお詫びをしたと話してくれました。やはり渡辺さんは日本の常識がハンガリーで通じないとハンガリーの常識は日本では通じないことを何度も痛感させられました。

 

現地での毎日の生活に関してやはりまず浮かぶのは、物価の安さです。今まで20回ほどオペラ座で演奏を聴きに行った渡辺さんは

「自動販売機でジュースを買える位(150円)の値段でブダペストのオペラ座で一流のオペラを観られます。」とニコニコ。もちろん学生券がありますがウィーンフィルの演奏を立ち見の学生券で250円位の値段で楽しめるよと話してくれました。

ハンガリーを下見に行った段階で、現地の日本人の手を借りて色々と教えてもらった。コムニティがあるからお互いに助け合うことができる。これも大きなメリットの一つです。

しかし本当のことを言うと、ハンガリーへ留学する志望動機の第一理由は日本で受けたレッスンの指導先生はハンガリー人のナードル先生のことだったそうです。引き続きナードル先生の指導で現地でレッスンを受けたいとのことでした。先生は、日本で20数年前から定期的に3週間ほどレッスンツアーを行っているそうです。

ハンガリー側から留学の許可がまだ下りずの準備する段階、条件の良いアパートを見つけ受験の三日前に契約してしまったそうです。これでは、もう後戻りができない!合格しかないと自分に言い聞かせたそうです。ちなみに現地での一か月分の住む費用は、全て込みで訳230.000フォリント(ハンガリーの通貨)およそ97.000円。

アパートの契約を締結したからこそ、渡辺さんはリスト音楽院(Liszt Ferenc Zeneművészeti Egyetem)に受験し、無事合格しました。 

豆知識として覚えておいた方がよいかもしれませんが、リスト音楽院=ゼネアカデーミア→(省略)ゼネアカです。 (日本人が集合場所を決める時は、よくこの呼び名を使うそうです。)

渡辺さんはいよいよ、2016年8月27日に留学生活開始日に至った。

2年間は英語でレッスンを受けたのですがこれからハンガリー語に切り替えると彼が目を輝かせて言いました。ハンガリー語はだんだん強くなってきているからです。

レクチャーの間は、バルトークの民謡収集からある曲をピアノでちょっとだけ演奏してもらった。私自身は、渡辺さんの発言に驚いた:ハンガリー音楽の特徴は、タターンと言うリズムで、このリズムは言葉にもあります。つまり「その国の音楽と言葉が関連関係にあるっていう話がとても興味深いです。

 

ここで、思わず私からの訪ね:言葉ができるとできない学生さんの演奏の違いはあるのでしょうか?

渡辺さんはこう答えたのです「他の日本人留学生ともこれについて話しをして、反射的にタターンと言うリズムを知っていて演奏する学生さんは、絶対言葉もできるでしょう。音楽的にはミスはしていませんが言葉を知っているか知らないかは密接に絡んでいるかなと思います。」

日本の歌を海外の方が演奏すると、違和感があるそうです。外国人演奏者は日本語がちょっとしゃべれても作品の奥にあるソールは分からないでしょう。やはり言葉を学ぶことは、国とソール(?)を学ぶことです!

現代は、英語ができて当然の世界になっていて、行先の国の言葉も身に着けることが大事だと思います。

お互いの心が開くので、生活や現地での活動を広げるためにもハンガリー語が不可欠な存在だと思うと渡辺さんは堂々と言い加えたのです。

渡辺さん、本当にköszönöm szépen!

色々とお疲れ様です。これからの一層のご活躍を祈っております。